伝説のau INFOBARは今どうなった?歴代名機と新型復活の真相
2003年10月、均一化された折りたたみ携帯が市場を席巻していた日本のモバイル業界に、鮮烈なカラーブロックをまとった1本のストレート端末が投じられました。KDDIの「au Design project」第1弾として産声を上げた「INFOBAR(インフォバー)」です。プロダクトデザイナーの深澤直人氏が手掛けたその独創的なフォルムとカラーリングは、携帯電話を「単なる通信機器」から「愛着を持って持ち歩くデザインオブジェクト」へと昇華させ、国内外で社会現象を巻き起こしました。
発売から20年以上が経過した現在でも、デザイン史に名を刻む名機としての熱量は衰えていません。3G通信の停波に伴う旧機種の利用可否や、歴代スマートフォン・ガラホの系譜、さらにはApple Watchケースへの展開やファンの間で囁かれる「新型復活」の動向に至るまで、INFOBARが歩んできた軌跡と2026年現在のリアルな到達点を徹底検証します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 歴代モデルの現在地:2022年3月末のau 3Gサービス終了に伴い、初代やINFOBAR 2などの初期端末は回線通信が不可となり、現在実用できるのは4G LTE対応の「INFOBAR xv」のみです。
- デザイン資産の継承:深澤直人氏が提唱した「人の無意識に寄り添うデザイン」は、スマートフォン時代を経てウェアラブル端末向けアクセサリー(Apple Watchケース等)や復刻グッズへ形を変えて息づいています。
- 新型復活の展望:単独のスマートフォン型番としての新型アナウンスはないものの、au Design projectによる周辺プロダクトや次世代コンセプトの提示は継続しており、ブランドの灯は消えていません。
【歴代モデル総括】初代ニシキゴイからINFOBAR xvまでの進化の軌跡

INFOBARの歴史は、携帯電話が機能競争に明け暮れていた時代へのアンチテーゼから始まりました。歴代のラインナップは、通信インフラの進化(2G/3Gから4G LTE、スマートフォンの台頭)と歩調を合わせながら、常にハードウェアデザインの極北を提示し続けてきました。
深澤直人氏が掲げた「棒状のインターフェースにタイル状のキーを並べる」という基本構図は、時代ごとに技術的な制約をクリアしながら見事に具現化されています。
歴代の主要モデルを振り返ると、以下のような変遷を辿っています。
- 初代 INFOBAR(2003年発売・鳥取三洋電機製): マグネシウム合金フレームにタイル状のキーを隙間なく敷き詰めたストレート型ケータイ。象徴的カラー「NISHIKIGOI(ニシキゴイ)」のほか、「ICHIMATSU」「BUILDING」「ANNIN」を展開。MoMA(ニューヨーク近代美術館)の永久収蔵品に選定されるなど、世界的な評価を確立しました。
- INFOBAR 2(2007年発売・鳥取三洋電機製): ストレート型を踏襲しつつ、「まるで口の中で溶けかけた飴玉」のような角のない丸みを帯びた有機的フォルムを採用。ワンセグやおサイフケータイに対応し、道具としての手触りを極限まで磨き上げた名機です。
- INFOBAR A01 / C01(2011年・2012年発売・シャープ製): スマートフォンシフト期に誕生。新ブランド「iida」のもと、中村勇吾氏が手掛けた縦スクロール型タイルUI「iida UI」を搭載し、ソフトウェア面でもINFOBARの世界観を表現しました。C01では細身のBARタイプに物理テンキーを復活させ、往年のファンから高い支持を得ました。
- INFOBAR A02 / A03(2013年・2015年発売・HTC製 / 京セラ製): 4G LTEに対応したフルタッチスマートフォン。アルミ削り出しの質感を活かしたボディやアルマイト加工、トリコロールカラーのフロントキーなど、スマートフォンの板状デザインの中で異彩を放ちました。
- INFOBAR xv(2018年発売・京セラ製): 初代誕生15周年を記念してクラウドファンディングを経て製品化された4G LTEケータイ(ガラホ)。フレームレスのタイルキーと最新のVoLTE通信を両立させ、原点回帰を果たした記念碑的モデルです。

【比較データ表】歴代主要INFOBARのスペックと2026年時点の通信可否

コレクションや中古端末の購入を検討しているユーザーに向けて、歴代主要モデルのスペックと現在の実用可否を一覧に整理しました。
| モデル名(発売年) | 本体種別 / 通信規格 | 2026年現在の通信可否 | 編集部の見解・実用性評価 |
|---|---|---|---|
| 初代 INFOBAR (2003年) | フィーチャーフォン CDMA 1X(3G以前) | ✕ 利用不可(3G停波済) | 通話・ネット共に完全停止。プロダクトデザインとしての鑑賞・保管用。 |
| INFOBAR 2 (2007年) | フィーチャーフォン CDMA 1X WIN(3G) | ✕ 利用不可(3G停波済) | 手触りの完成度は歴代随一。コレクション価値が極めて高い名機。 |
| INFOBAR A01 / C01 (2011年 / 2012年) | スマートフォン CDMA 1X WIN(3G) | ✕ キャリア通信不可 (Wi-Fiのみ動作) | OSバージョンの制約により主要アプリは動作困難。iida UIの体験機。 |
| INFOBAR A03 (2015年) | スマートフォン 4G LTE / VoLTE | △ 一部利用可 (4G通話可能 / 制限有) | VoLTE通話は可能だが、Android OSが古くセキュリティ面でメイン利用は非推奨。 |
| INFOBAR xv (2018年) | 4Gガラホ 4G LTE / VoLTE対応 | ◯ 現役利用可 (au回線 / 4G通話・SMS) | 通話専用サブ端末やデジタルデトックス用として現在も実用稼働可能。 |
INFOBARのガラケー・ガラホは現在も使えるか?サービス終了の現実と実情

中古市場やフリマアプリでINFOBARを見かけ、「今でも電話として使えるのか?」と疑問を抱くユーザーは少なくありません。ここで明確にしておくべきは、auの3G通信サービス(CDMA 1X WIN)が2022年3月31日をもって完全に終了しているという厳然たる事実です。
初代INFOBARおよびINFOBAR 2、そして3G専用機であるA01やC01に現代のSIMカードを挿入しても、電波を掴むことは一切できません。時計表示や電卓、内蔵された着信音の再生など、オフラインのスタンドアロン機能のみが動作する状態となっています。
一方で、15周年記念モデル「INFOBAR xv」は4G LTEおよびVoLTEに対応しているため、現在も音声通話・SMS端末として契約・利用が可能です。ただし、内部仕様はAndroidベースのガラホでありながら、Google Play非対応である点やブラウザ性能の制約があるため、LINE等のサードパーティ製アプリの利用環境は年々厳しくなっています。「通話とシンプルなテキスト連絡に絞ったミニマルな相棒」としての使い方が現実的な着地点となります。

新型INFOBAR復活の噂は本当か?Apple Watchケースと復刻動向の真相
ネット上やSNSでは定期的に「新型INFOBARがスマホとして復活するのではないか」「5G対応のストレート機が出るらしい」という待望論が浮上します。この噂の背景には何があるのでしょうか。取材と公式発表データから真相を紐解きます。
結論から言えば、2026年現在、KDDIから単独の新型5GスマートフォンとしてのINFOBAR発売は公式アナウンスされていません。しかし、ブランドそのものが休眠しているわけではありません。
au Design projectは20周年を契機に、現代のデジタルライフに即した新しい形での「INFOBAR復刻」を展開しています。その代表例が、クラウドファンディングを通じて世に送り出された「INFOBAR Apple Watch ケース」です。初代INFOBARのサイズ感とニシキゴイカラーを精巧に再現し、内部にApple Watch本体を格納することで「往年のストレートケータイを持ち歩く感覚」を最新のスマートデバイスで再現するという試みは、初回受付分が即座に目標額を達成するほどの反響を呼びました。
また、カプセルトイとしての歴代ミニチュア復刻や、デザイン展でのコンセプト展示など、KDDIはINFOBARを「過去の遺産」ではなく「現在進行形のカルチャー資産」として活用し続けています。ハードウェア製造コストが高騰し、スマートフォンの設計が画一化する現代において、au Design projectは「単に四角い画面付き端末を出す」のではなく、ウェアラブルや周辺機器、あるいは全く新しい入力形態でのブランド再定義を模索していると分析できます。
【実態検証】愛用者のリアルな評判・レビューと中古市場の熱気
発売から長い年月が経ちながらも、INFOBARが中古市場やオークションサイトで高値取引されている現場には、他のプロダクトには見られない特異なコミュニティの熱量が存在します。
実際にINFOBARシリーズ(特にxvや歴代ストレート機)を所有するユーザーの生の声とレビューを検証すると、評価の軸は実用性と情緒的価値の間で明確に分かれています。
- ポジティブな評価・愛着の声: 「机の上に置いているだけで気分が上がる」「ニシキゴイの配色を見ると、機能一辺倒のスマホ社会で失われた遊び心を思い出す」「xvを通話専用にしてから無駄に画面を見つめる時間が減り、生活のリズムが改善された」など、視覚的な美しさとデジタルデトックス効果に対する絶賛が目立ちます。
- ネガティブな評価・課題点: 「xvのタイルキーは美しいが、凹凸が少ないためブラインドタッチには慣れが必要」「レスポンスは最新スマホに比べるとどうしてもワンテンポ遅い」「バッテリーの交換部品が入手困難になりつつある」といった、ハードウェアの経年劣化や操作性に関するリアルな指摘が散見されます。
中古市場では、外装に傷のない美品の「初代INFOBAR」や「INFOBAR 2(NISHIKIGOI / MIDORI)」が、実動しない鑑賞用オブジェクトであるにもかかわらず、定価を上回るプレミア価格で取引されるケースも珍しくありません。道具を超えて「平成インダストリアルデザインの金字塔」として扱われている実態が浮き彫りになっています。

デザイン思想から紐解く存在意義|なぜ私たちは今もINFOBARに惹かれるのか
なぜINFOBARは、これほどまでに人々の記憶に強く刻まれているのでしょうか。その核心は、深澤直人氏のデザイン哲学である「Without Thought(思わず手が伸びる、人の無意識に寄り添う造形)」と、日本独自の美意識の融合にあります。
当時の携帯電話デザインの多くが「シルバーやブラックを基調としたメカニカルなギア」を目指していたのに対し、INFOBARは日本の伝統的な色彩感覚を取り入れた「錦鯉」や「市松」を大胆に引用しました。四角いブロックが整然と並ぶグリッドレイアウトは、障子や畳といった和の建築的モジュールにも通じる心地よい秩序を内包しています。
さらに現代の視点から見れば、黒いガラス板へと均一化してしまったスマートフォンに対する「身体的な触感への飢餓感」が、INFOBARへの再評価を加速させています。画面のタッチ操作だけでは得られない、クリック感のある物理キーの押し心地や、手の中にすっぽりと収まる細身のシルエットは、過剰な情報社会の中で人間と機械の健全な距離感(心理的バウンダリー)を取り戻すトリガーとして機能しているのです。
【プロの結論】2026年にINFOBARを所有・導入すべき人と見送るべき人の判断基準
INFOBARの購入やコレクションを検討している読者に向けて、後悔しないための明確な選択基準を提示します。
【向いている人・手に入れる価値がある人】
- デザイン史に残る名作を日常のアートピースとして手元に置きたい人:初代や2の造形美は、オブジェやペーパーウェイトとしてデスクに飾るだけでも高い満足感をもたらします。
- 音声通話と最低限の連絡に絞り、デジタルデトックスを実践したい人:INFOBAR xvをau回線で契約し、メインスマホと分離して持ち歩く運用は非常に合理的です。
- Apple Watchを個性的なガジェットとして再解釈したい人:復刻ケースを活用することで、最新のスマート機能をINFOBARのガワで持ち歩く唯一無二のスタイルが完成します。
【おすすめできない人・慎重になるべき人】
- 1台の端末でSNS、高画質カメラ、決済、アプリゲームを完結させたい人:実用できるxvであっても現代のスマホ用途には全く対応できません。
- 3Gモデル(初代・2・A01・C01)を安価な通話用サブ機として使おうと考えている人:電波が受信できないため、回線契約による利用は物理的に不可能です。
【au infobar】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:初代INFOBARやINFOBAR 2を現在auで契約して使うことはできますか?
A1:できません。auの3G通信サービス(CDMA 1X / CDMA 1X WIN)は2022年3月31日をもって完全に終了したため、電波を受信しての通話やメール送受信は一切行えません。現在はデザイン鑑賞用のコレクションアイテムとなります。
Q2:現在でも日常的に電話として使えるINFOBARモデルはどれですか?
A2:2018年に発売された「INFOBAR xv」のみが4G LTEおよびau VoLTEに対応しており、現在もauや対応するVoLTE SIMを挿入して音声通話やSMS通信が可能です。
Q3:INFOBARの象徴的なカラー「NISHIKIGOI(ニシキゴイ)」の配色の由来は何ですか?
A3:日本の伝統的な観賞魚である錦鯉から着想を得た、白・赤・ベージュ(または薄青)のコンビネーションです。無機質になりがちだった電子機器に日本の風土や情緒を取り入れ、鮮烈な個性を生み出しました。
Q4:今後、5Gに対応した完全新型のINFOBARスマートフォンが発売される可能性はありますか?
A4:現時点でKDDI公式から5G新型スマホの開発発表はありません。ただし、au Design projectはApple Watch向けケースや周辺プロダクト、コンセプトモデルの展示などブランド展開を継続しており、新しい形態でのアプローチが常に注目されています。
まとめ:時代を超えて輝くINFOBARの価値とこれからの選択
INFOBARが私たちに遺した最大の功績は、「テクノロジーはもっと自由で、情緒的で、美しくていい」という確固たるメッセージでした。通信技術が3Gから4G、そして5Gへと進化し、ハードウェアがどれほど変貌を遂げようとも、深澤直人氏が吹き込んだ「人と道具の心地よい関係性」という本質は色褪せることがありません。
実用機としての「INFOBAR xv」、コレクションとしてのアートピース、あるいはApple Watchケースのような現代的オマージュ――どのような形で触れるにせよ、INFOBARが放つ普遍的なデザインの魅力は、これからも日本のプロダクト史の中で輝き続けるはずです。 (出典: au infobar(Yahoo!ニュース))